CFexpressリーダーを買ったらPCに40Gbpsポートが無くてガッカリ…と思いきや、全部ちょうど良かった話

CFexpressリーダーを買ったらPCに40Gbpsポートが無くてガッカリ…と思いきや、全部ちょうど良かった話

きっかけ:カメラ直結の取り回しが地味に面倒

これまでA7R5で撮った写真の取り込みは、カメラ本体をUSBケーブルでPCに直結して行っていました。

ただ・・・これが地味に面倒くさい。
撮影から帰ってきてカメラを引っ張り出し、ケーブルを挿し、取り込みが終わるまでカメラを繋ぎっぱなしにしておく。

バッテリーも気になるし、そもそもカメラを机の上に転がしておくのが邪魔。カードを抜いてリーダーに挿すだけで済むなら、そっちのほうが圧倒的に楽です。

というわけで、CFexpress Type A専用のカードリーダーを導入することにしました。選んだのはNextorageの「NX-SA1PRO」。使っているカードもNextorage(NX-A2SE 256GB)なので、素直に純正で揃えた形です。

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買ってから気づいた:うちのPCに40Gbpsポートが無い

このリーダー、インターフェースがUSB 40Gbps(USB4)対応をうたっています。速いに越したことはないと思って選んだのですが、家に届いてから重大なことに気づきました。

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Enzo
うちのマザボ、40Gbpsのポートなんて無い。
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助手
えー、ノリと勢いで買ってるよこの人。。。

メインPCのマザーボードはASRock Z790 PG Lightning。  
背面USBで一番速いポートを確認すると、USB 3.2 Gen2x2 Type-Cの20Gbpsが最速でした。
あとはGen2の10Gbps、Gen1の5Gbps、USB 2.0という顔ぶれ。つまりリーダーが40Gbps対応でも、PC側がそれを受け止められない。半分の20Gbpsで頭打ちになります。

「うわ、スペック無駄にしたか…」と一瞬ガッカリしました。とりあえず一番速い20GbpsのGen2x2 Type-Cポートに挿して使ってみることにします。

使ってみたら普通に速い。というかカメラ直結より明らかに速い

で、結論から言うと普通に速かったです。

取り回しはもちろん快適になったし、体感としてもカメラ直結の頃より明らかに取り込みが早く終わる。

「40Gbpsを活かせてないのに、なんでこんなに満足してるんだ?」と思って、ちょっと真面目に数字を追ってみました。そうしたら、そもそもの前提が全部ひっくり返りました。

数字で解剖してみる

登場人物のスペックを並べてみます。

カード(Nextorage NX-A2SE 256GB)は、読み出し最大1,900MB/s・書き込み最大1,700MB/s。CFexpress 4.0対応の本気のやつです。
リーダー(NX-SA1PRO)はUSB4 / 40Gbps対応。マザボの最速ポートはUSB 3.2 Gen2x2 Type-C=20Gbps(実効でだいたい2,000MB/s前後)。
そしてカメラ(A7R5)のUSB端子はUSB 3.2 Gen2=10Gbps(実効でだいたい1,000MB/s前後)です。

ここで気づきました。これまでのカメラ直結、カードの実力を半分しか使えていませんでした。

カードは1,900MB/s出せるのに、カメラ本体のUSBが10Gbps=約1,000MB/sで頭打ち。つまり直結してる限り、カードがどれだけ速くてもカメラ側がフタをしていたわけです。ボトルネックはケーブルでもPCでもなく、カメラそのものでした。

一方、リーダー経由でマザボのGen2x2ポート(20Gbps=約2,000MB/s)に挿すと、初めてカードの1,900MB/sをほぼフルに引き出せる環境になります。だから「リーダーにしたら速くなった」という体感は気のせいじゃなくて、実際に転送速度が倍近くになっていた可能性が高い、ということになります。

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Enzo
そもそも取り回しだけでも改善すれば満足だったんだよ、こっちは!
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助手
40Gbpsのポート無いの判明したとき焦ってませんでした??

じゃあ40Gbpsポートが無いのは損なのか?→ 損じゃなかった

ここで最初のガッカリに話を戻します。「40Gbps対応リーダーなのに、PC側が20Gbpsで頭打ち」というやつ。

これ、よく考えたら全然損してませんでした。

カード自体の読み出しが1,900MB/s。これはビット換算するとだいたい15Gbpsくらいの帯域です。つまりカードは、20Gbpsのポートがあれば実力を出し切れる。40Gbpsは要りません。リーダーの残り20Gbps分の帯域は、そもそもこのカードでは使い道がない。

40Gbps対応は「宝の持ち腐れ」に見えて、実際は今の構成にちょうど良かった、というのが正しい結論でした。

拡張ボードを買わなくて正解だった

実は購入してポートの問題に気づいてから、USB4/40Gbpsを増設できるPCIe拡張ボードの導入も検討していました。リーダーの40Gbpsをフルに活かすなら必要かな、と。でも値段がそこそこ高くて、その時は断念していたんです。

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今回の計算を踏まえると、仮に拡張ボードを買って40Gbps環境を用意していても、カードが1,900MB/s(約15Gbps)で頭打ちなので、20Gbpsのポートと体感も実測もほぼ変わりませんでした。増えた帯域はまるっと遊ぶだけ。使わない速さのために1万円前後を払うところでした。

ケチって断念したのは結果的に大正解で、というより「そもそも要らなかった」というのが本当のところです。

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助手
ほら、これ買おうとしてましたよね??
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Enzo
そうでしたっけ??うふ。

そもそも、このリーダーの40Gbpsを使い切れるカードって存在するの?

ここまで来ると、根本的な疑問が湧いてきます。このリーダーの40Gbps(実効で約4,000MB/s近い帯域)を、フルに使い切れるカードって、そもそも今この世にあるのか?

調べてみたら、答えははっきりしていました。少なくとも現行のCFexpress 4.0規格のType Aには存在しません。

理由はカードの構造にあります。CFexpress Type Aは端子がPCIeレーン1本ぶんしかなく、最新のCFexpress 4.0世代でも理論上の最大が約2,000MB/s。つまりType Aカードは、規格の天井(約2,000MB/s)が、リーダーの帯域(約4,000MB/s)のちょうど半分しかない。カードがどれだけ進化しても、Type Aである限りこのリーダーの40Gbpsは絶対に埋まりません。

約4,000MB/sを出せるのは、レーンが2本ある「Type B」の世界の話です。Type Bなら読み出し3,900MB/s級のカードが実在して、そういうカードならこのクラスの帯域を活かせます。でもType AとType Bは物理的に別物で、A7R5はType Aスロットなので、そもそもType Bは使えません。

ちなみに今買えるType Aカードの中でも、私が使っているNX-A2SE(読み1,900MB/s)は、現行のCFexpress 4.0規格におけるType Aの理論上限(約2,000MB/s)にほぼ張り付いた最速級です。理論上限が2,000MB/sである以上、4.0世代のType Aではこれ以上大きく伸びる余地はほとんどありません。

つまりこのリーダーの40Gbps対応は、Type A運用では完全にオーバースペック。
NX-SA1PROはCFexpress Type A専用機なので、これはType BやSDと兼用するための帯域ではありません。

USB4/40Gbpsという上位インターフェースを採用した結果として標準的に40Gbpsになっているだけで、カード側の約2,000MB/sに合わせて絞る意味がない、というのが実態です。
将来Type A規格自体が向上してもリーダーがボトルネックにならない余裕、とも言えますが、少なくとも現状のType Aユーザーが40Gbpsを埋めることは仕組み上ありえません。

じゃあ一つ下のリーダーで良かったのか

「Type A運用ではオーバースペック」と分かると、次に気になるのは「じゃあ、もっと安いType Aリーダーで良かったのでは?」という点です。

結論から言うと、これはノーでした。

たしかに40Gbpsという帯域は、Type Aカード(1,900MB/s)に対しては過剰です。カードの性能を出し切るだけなら、実効2,000MB/s前後を扱える20Gbps級で足ります。

ただ問題は、現実に安く手に入るType A対応リーダーの多くがUSB 10Gbps級だという点です。10Gbpsの実効帯域はおよそ1,000MB/s前後で、これだと1,900MB/sのカードは半分ちょっとまで絞られてしまう。安いリーダーを選ぶと、カードの実力を明確に殺すことになります。

つまり「40Gbpsは全部は使い切れない(=オーバースペック)」のは事実ですが、だからといって一番安いモデルに落とすと、今度はカード性能を出し切れない。カードの1,900MB/sをきちんと引き出すには、結局この上位機くらいの帯域が必要だった、というのが実際のところです。

一周回って、帯域は余らせているけれど、カードを活かすという意味では、これで正解でした。

タイプ別:どのリーダーを選ぶべきか

今回いろいろ検証してみて、「カメラの取り込みをなんとかしたい人」に向けたおすすめは、悩みの中身によって真逆になることが分かりました。ここが一番実用的なポイントだと思うのでまとめておきます。

まず「カメラを繋ぐ取り回しだけが面倒で、速度は今のままでいい」人。この場合は、同じNextorageでも下位のNX-MFA1SE(USB 10Gbps・実売8,990円前後)で十分です。SDも読めるマルチスロットでコスパも良い。これがベストな選択でしょう。

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一方「カメラ直結だとカードの実力を半分しか出せていなくて、速度そのものを上げたい」人。この人は要注意です。NX-MFA1SEの接続速度は10Gbpsで、これはカメラ(A7R5)本体のUSB端子と全く同じ(A7R5のUSB Type-C端子はSuperSpeed USB 10Gbps / USB 3.2 Gen2)。つまり10Gbpsのリーダーを買っても、速度の上限はカメラ直結と変わりません。取り回しは改善されても、速度の悩みは解決しないんです。この人が本当に必要なのは、20Gbps以上で繋げるリーダー+PC側の20Gbps以上のポート。つまり今回私が買ったNX-SA1PROを、Gen2x2(20Gbps)ポートに挿す構成こそが正解になります。

ここで一つ落とし穴があります。速度を上げたいなら「リーダーが速い」だけでは足りず、繋ぐPC側のポートも20Gbps以上である必要があります。もしPCのポートが10Gbps(USB 3.2 Gen2)止まりなら、いくらNX-SA1PROを挿しても10Gbpsで頭打ちになり、結局カメラ直結と変わりません。自分のPCにGen2x2(20Gbps)やUSB4/Thunderboltのポートがあるかは、事前に確認しておくべきポイントです。

もう一つ注意点として、この話は「カードの読み出しが1,900MB/s級」という前提です。もし使っているカードが旧世代の800MB/s級なら、10Gbps(実効約1,000MB/s)でも足りるので、その人はNX-MFA1SEで速度面も問題なし。自分のカードの読み出し速度が1,000MB/sを超えるかどうかが、選択の分かれ目です。

まとめ:速さは一番遅いところで決まる

今回いろいろ調べてみて、結局この一言に尽きるなと思いました。

転送速度は、カード・リーダー・ケーブル・ポートのうち、一番遅いところで決まる。

どれか一つだけ最速で揃えても意味がなくて、逆にどこか一つがボトルネックなら、他をいくら強化しても頭打ちになります。今回でいうと、カメラ直結時代のボトルネックはカメラ本体、リーダー導入後のボトルネックは(20Gbps以上のポートに挿せば)カード自身、そしてリーダーの40Gbpsを埋められるカードはType Aには存在しない。

上流を全部最速で揃えたくなる衝動はありますが、ボトルネックがどこにあるかを見極めれば、無駄な出費を防げます。

あと地味に大事な教訓として、USB Type-Cは端子の形が同じでも、中身の速度規格は全然違います。Gen1(5Gbps)、Gen2(10Gbps)、Gen2x2(20Gbps)、USB4(40Gbps)と幅がある。ケーブルが挿さったからといって最速で繋がっているとは限らないので、「どのポートに挿すか」は毎回意識したほうがいいです。

結果として、取り回しも転送速度も改善されて大満足。40Gbpsポートが無くてガッカリしたのは、完全に杞憂でした。

Enzoのアイコン
Enzo
計算通り。
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助手
うそつけ

(※この記事の速度の話は、各機器の規格上の理論値をもとにした推測です。実際にCrystalDiskMarkあたりで測ってみた実測編は、また別途書こうと思います。)


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